このディレクトリでは、2002年秋に日本小児アレルギー学会から発表された「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン 2002」を紹介します。■ 治療の二つ柱発作の回数や程度、そして年齢に応じた薬物の治療プランを見ることができます。現在受けている治療がどのステップに該当するか参考にされるとよいと思います。
気管支喘息の病態は気管支の慢性炎症が病気の主体であることが指摘されるようになりました。喘息発作時の苦痛を取り除くだけではなくて、普段からの日常の管理が喘息の治療で最も重要であるとされています。そこで喘息の治療は次の大きく二つに分けられます。
■ 喘息の発作予防(メンテナンス) ■ 喘息発作時の治療
■ 喘息を虫歯の治療を例えると、、
歯科の先生には怒られるかもしれませんが、私はこの目的の違いを虫歯にたとえて「虫歯の治療」と「虫歯を予防するための歯磨き」の関係で患者さんに説明しています。私も決して歯の治療が好きな方ではありません。歯の治療を受けている間も普段もう少ししっかり磨いておけばこんな事にはならなかっただろうと、つい思ってしまいます。 虫歯の治療は歯科の先生に歯そのものを治してもらうことよりも、普段からの歯の手入れ・歯磨きが一番大事なことはお分かりになると思います。喘息の治療も同じ事が言えます。大事なのは普段からの手入れやメンテナンスなのです。気管支喘息の場合は、気道の状態を絶えず整えておくことに相当します。
普段からの自宅でのネブライザーの吸入や吸入ステロイド剤の使用、抗アレルギー薬の内服は「虫歯を予防するための歯磨き」で、喘息発作時の治療が「虫歯の治療」に相当します。
普段何の症状もないのに吸入や内服を続ける事に疑問を持っておられる患者さんや患児やその家族は、この例で納得して下さることがあります。
逆に普段から気管支拡張剤を連用されている方は、虫歯の予防をせずに普段から痛み止めを絶えず飲んでいる様な状態だと説明できます。また喘息発作が頻繁に起こりだしてから吸入ステロイド剤による気管支のメンテナンスを始めるような方は、虫歯が痛くなってから歯磨きを一生懸命するようなものなのです。
この説明で喘息の治療に日常の管理が大事だという意味が分かって頂けたでしょうか?
以上の説明で喘息の治療には「喘息の日常管理(気管支のメンテナンス)」と「発作時の治療」の二つに分けられることがお分かりになったのでしょうか。前者を「コントローラー」、後者を「レリーバー」と呼ぶ場合があります。
さて、それぞれの治療につかう薬の剤形は大きく内服と吸入に分けられます。そしてさらに吸入には定量式噴霧式吸入器(MDI・BDI)とネブライザーによる2つの方法があります。
ここで問題になるのが、目的が違うのに同じ形や使い方のお薬があると言うことです。ここが喘息の治療でよく間違われることです。
毎日欠かさず吸入しておくことが大事だと説明されれば、発作が毎日起きているので「発作時の治療」としての吸入を絶えず使っていたり、また、新聞で吸入薬の使いすぎで亡くなった方がいるとの報道を知って、「喘息の日常管理」としての吸入薬を中断してしまったり、、この間違いはよく見かけます。
処方された治療薬の目的をしっかり理解していると、そういう間違えはしないはずです。治療の目的と剤型によって分類すると次の表のようになります。
* 喘息の日常管理
気管支のメンテナンス発作時の治療 吸入 抗アレルギー剤
吸入ステロイドβ2交感神経刺激気管支拡張剤 ← 電動ネブライザーによる吸入 →
混合する気管支拡張剤の量や回数によって目的が変わる内服薬 抗アレルギー剤
キサンチン系気管支拡張剤(RTC)
(内服ステロイド)β2交感神経刺激気管支拡張剤
キサンチン系気管支拡張剤
その他その他 β2交感神経刺激気管支拡張剤
おわかりになったでしょうか。以下のURLでは、各剤形ごとにお薬についての説明をしています。ぜひご覧下さい。
■ 内服薬について
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