当院では商品名で「テオドール」というお薬をお渡ししております。一般名はテオフィリンと呼ばれ、喘息の治療で最も古くから用いられています。またひどい喘息発作の時に点滴に入れられる「ネオフィリン」と呼ばれるお薬もキサンチン製剤です。
キサンチン製剤は、体の中のお薬の濃度を測定出来る非常に便利な特徴があります。その血中濃度と効果はよく相関しており、血中濃度が高くなると強い喘息発作でも抑えることが出来ます。しかし内服をしばらく中断して血中濃度が次第に下がって来ると発作が起き易くなります。また、血中濃度を測定することによって副作用の出現を予防することも出来ます。
ところが代謝速度が非常に早く、たくさん内服してもすぐに分解されてしまう特徴を持っています。毎日朝晩同じ時刻にきちんと内服し1日中一定の有効血中濃度に保つ治療法を「RTC療法 (Round The Clock)」といいます。しかしそれでは夜間も起きて内服しなくてはなりません。その後の開発により、一度に分解されないように内服してから徐々に溶け出して血中濃度の変動が少なくなるように工夫されるようになりました。これを徐放性剤といいます。
最近では血中濃度が正確に測定できた場合、その患者さんの年齢や体重より1日の血中濃度の変動をコンピューターで予想することが出来ます。これを利用すると、例えば明け方にひどい喘息発作が生じる場合、いつどんな量で内服すれば、副作用なく明け方に血中濃度を高めることが出来るかをピタリと推測することが出来ます。
また、喘息発作の頻度が増えてきた場合に、採血して血中濃度を測定し投与量が正しいか検討することがあります。その場合、血液検査を受ける最低約5日前より、規則正しい生活と指示された通りの量を毎日定時刻に忘れずに内服して下さい。内服を忘れた日があれば医師に伝えて下さい。
お子さんの場合、苦くてなかなか内服してくれない場合があります。ミルクやジュースにも溶けないで困ってしまいます。そういった場合ヨーグルトに混ぜて食べさせるとうまくいくと、あるお母さんからアイデアを頂きました。
また最近では苦みのないドライシロップも開発され、さらに内服しやすくなっています。前述の方法でも内服が難しい場合は、医師と相談してドライシロップへ変更してもらうのもよいかもしれません。
また、喘息発作で点滴中に頭痛など同様の症状を訴えた場合は、すぐに看護婦さんや医師に連絡して下さい。
また副作用とは違いますが、便に内服した顆粒が溶けずにそのまま出てくるといった相談を受けますが、心配は要りません。必要な成分だけが腸管内で溶け出したお薬の「殻」です。
■ 濃いコーヒーが喘息によく効く!?Tips!
実はコーヒーなどに含まれているカフェインもキサンチン製剤の一つなのです。実際、ネオフィリンが化学合成できなかった昔は、濃いコーヒーが喘息に有用である、といった論文も発表されています。発作時の対応も主治医の先生から十分に説明を受けて、ゆっくりコーヒーを飲むくらい落ちついて対応ができるようになってください。