昨日(9/22)の朝日新聞の経済面で萬有製薬のインターネット上での情報公開にあり方についての記事が掲載されていました。連載名は「乱戦前夜 (上) 変わる薬市場」、タイトルは「情報力の外資 副作用・費用効率も公開」です。萬有では同社で発売されている医療用薬品の副作用情報をインターネットで公開されています。7月の下旬から公開を始め同月で1万件異常のアクセスがありました。これに対して業界団体全体は追随する動きは見られておらず、それどころか自粛を呼びかけています。今年の3月末に国内の大手・中堅の製薬会社で作る日本製薬工業協会が「医療用医薬品の情報を掲載するのは自粛していただきたい」と会員企業に文章で要請したそうです。
これに対して萬有製薬は「副作用は患者の最も知りたい情報。公開するのは当然の流れ」として意に介する様子はないそうです。
患者さんの健康を扱う企業として社内にある情報は何でも公開するという姿勢に対して、私は拍手を送りたいと思います。各製薬メーカーでもぜひこの動きに追随して欲しいと思いました。
ちなみに国内で認可されている医薬品に関する情報は、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(医薬品機構)が公開するようになりました。
■ 医薬品情報提供システム
http://www.pharmasys.gr.jp/homepage.htmlこのページを見ると一般の方がご覧になった場合の事を想定し、くどいくらいに説明がされています。副作用を知って服薬を止めてしまう患者さんのことを配慮してだろうと思います。
ただ、インターネットを利用してまでも情報を入手しようとされる患者さんは、ご自身や家族の健康や疾病対策に深い関心のある方で、お薬の正しい効能を知ってくださると治療に前向けになると考えています。
昔話ですが、ラジオの放送が始まると新聞が売れなくなると思われていた時代がありました。しかし実際にはラジオの放送を聞いた人が新聞を購入するようになり売り上げが伸びました。近代になってコンピューターでペーパーレスになると思われていたものが、実際には紙の消費が増えてしまいました。そして現代、インターネットが普及するようになって本は買わなくてすむようになると思われていました。しかし本屋に行くとインターネットに関する新書で本棚が足らないほどです。またメールで交信するので人と会わなくても済むと思われていたのに、実際には会ってみたい人が増えてしまいました。
医療の情報も同じではないかと思います。たくさんの情報が容易に得られるようになると、自ら進んで医療機関を訪れる患者さんが増えるのではないかと想像しています。
しかし今日の日本でなかなかそういった動きにつながらないのは、優れたコンテンツやサービスを提供できるサイトが少ない、情報支援に対する評価が低すぎる、などが原因なのではないでしょうか。