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09/18:日本のネットワーク医療の幕開け前夜

インターネットは社会の隅々にまで普及し、一般の家庭にも10%を越え普及する今日となりました。そして日常の情報は飛躍的に増えていく中で、医療に関する情報はむしろ相対的な低下を指摘されるに至りました。健康や疾病に対する医療情報をさらに利用したいという国民的要求は最近高まるばかりです。

個人・世帯の健康推進や疾病対策のためにインターネットのニーズはどの様に高まっているのか、最近の調査からその動向を探ってみました。

郵政省が著した「平成10年度版 通信白書」のなかで、自宅で利用したい情報新サービスで「画像を通じて医師に健康相談したり診断を受けたりできる」が40.8%で最も多く、また年齢が増すに連れ選択する方が増えています。

総理府の「暮らしと情報通信に関する世論調査(H7.1)」によると、21世紀のマルチメディア時代に向けたサービスの利用について「在宅医療支援システム」が45.6%で最も多く選択されています。この背景について日常生活において不足している情報について「健康・医療」が25.7%と高いことをあげています。

本年(1999年)富士通総研経済研究所が行った第4回FRIインターネットユーザー調査では「新たな生活関連サービス」で「見たことはないが、今後利用してみたい」サービスとし て「オンライン医療相談」が53.5%と最多を占めています。

このように様々な調査からも自宅にいながらインターネットで医療情報・サービスを利用したいというニーズが高まってきていることは明かです。

一方、その様な情報・サービスをすでにどれくらい利用されているかというと、米国ではSchwarz Pharma社が電話調査を行っていました。その中で実に29%の人がインターネットを使い医療情報を閲覧した経験があると報告しています。特に子どものいる家庭では医療情報を見る機会が多い事も指摘しています。

我が国におけるインターネット上の医療情報利用に関する広範囲な実態調査は、筆者もまだ知りません。ただ筆者が平成9年に外来にお越しになる患者家族(n=315)を対象としてアンケートを行ったところ、2.5%の世帯で利用されていました。

調査の規模が小さいためかも知れませんが、前述の意識調査からすると利用規模は小さいと感じています。

その理由は、国内にQOLを向上させる程十分なコンテンツやサービスを提供できるサイトが乏しい、診療契約が明瞭でない患者への情報提供についての国内ではまだコンセンサスが得られていない、インターネットによる医療情報支援活動の評価の低さなど、様々な要因が考えられます。

しかし、統計からも明らかなように国民的なニーズの高まりをこれからは医療関係者は無視するわけにはいきません。

特に今日まで我々の健康を支えてきた国民健康保険制度も、国民の望む高水準の健康を満たすにはもう限界が来ているようです。

国民への情報支援は、健者・患者共に健康意識を促しQOLの向上や疾病の早期発見治療に結びつき、強いては保険診療のコストダウンにつながります。ネットワークでの医療情報支援の目的は、つまり「よく学ぶ患者さん」を増やすことです。

ネットワークの活用は今日の医療が抱えているいくつかの問題を包括的に解決するかも知れません。それに気付いた時、一気に規制緩和が進みネットワーク上のサービスが進むでしょう。インターネット上の医療情報支援・医療サービスが爆発的に広がる、今日はその前夜なのかもしれません。


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