第17回近畿外来小児科学研究会:開催日 2009-11-08
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特別講演

演題
わが国における肺炎球菌菌血症の実態と7価結合型肺炎球菌ワクチン導入による効果の予測
演者
○ 西村龍夫1)2)、深澤 満、吉田 均、武内 一、草刈 章、土田 晋也2)
所属
1) にしむら小児科
2) 小児外来診療における抗菌薬適正使用のためのワーキンググループ
抄録

 小児の菌血症の大部分は肺炎球菌とインフルエンザ菌b型(以下,Hib)が起炎菌となっている.米国で1990年にHibワクチンが,2000年に7価結合型肺炎球菌ワクチン(以下,PCV-7)が導入されて以降,乳幼児の深部重症細菌感染症が激減した.

 肺炎球菌には約90種の血清型があるが,侵襲型肺炎球菌感染症の起炎菌は10数種の莢膜血清型に限られている. PCV-7には4,6B,9V,14,18C,19F,23Fの7種の血清型が含まれる.我々の潜在性菌血症を対象にした調査では,起炎菌となった肺炎球菌の血清型は6Bが最も多く28%をしめ,次いで19F(22%),6A(12%),4(10%),23F(8%),14(4%),18(4%)の順であった.自験例のデータから,わが国におけるPCV-7のカバー率は72%と予測され,PCV-7導入により米国とほぼ同様の効果が期待される.