第13回近畿外来小児科学研究会:開催日 2007-11-04
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演題
インフルエンザに対するNA阻害薬の有用性にてついての再評価
演者
○日比成美、生嶋 聡、藤原史博、綱本健太郎、橋田哲夫
所属
小児感染症研究グループ
抄録

【目的】我々は、NA阻害薬であるOseltamivir(Os)あるいはZanamivir(Za)の使用群と非使用群間(None)の臨床経過を比較することにより、NA阻害薬の有用性を再評価したので報告する。

【方法】 2006-07年冬季にFluAあるいはFluBと診断した1-20歳の患者を対象に、各治療群の治療開始後48時間の解熱率(48時間解熱率)と各群の90%が解熱するまでに要した時間(90%解熱時間)を比較検討した。

【結果】解析対象は、FluA 467人(Os 371、Za 51、None 45)、FluB377人(Os255、Za 69、None 53)であった。FluAでの48時間解熱率はOs 85.4%、Za 90.2%、None 53.3%、90%解熱時間はOs 58hr、Za 48hr、None 107hrとNone群ではいずれの比較でも解熱が大きく遅れた(p<0.001)。None群45例についてさらに検討すると、診断までの最高体温が39.0度以上あるいは年齢が6歳未満の症例で解熱が顕著に遅れたのに対し、39.0度未満かつ6歳以上の症例では、NA阻害薬使用群と比べて解熱に有意な遅れはみられなかった。一方FluBではいずれの比較でも有意な差はみられなかった。

【結論】NA阻害剤の有用性は、診断前最高体温39度以上、年齢6歳未満のFluAでは明らかであるが、FluB、あるいは診断前最高体温39度未満、6歳以上のFluAでは明らかではなかった。


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