抗アレルギー剤の効果

本当に効果があるの?
最近これらの抗アレルギー剤が有効でないとの発表があり、それを知った患者さんの一部に不信の声も聞かれる事もありました。

欧米では喘息の治療は吸入が主体となっているのに対し、日本では内服薬を多用する傾向があります。吸入薬剤を処方するとその使い方などの説明にずいぶん時間がかかり、我が国の医療体制ではたくさんの患者さんを診療しないと経済的に成り立たないために処方されにくいといった背景が指摘されています。

しかし、その背景を考慮に入れても、日本人は「病気はお薬をのんで治す」という観念が強いのではないかと私は思っています。吸入薬の使い方や効能をいくら説明しても、続けられる方が少ない、それは効能を信じてもらえないからかもしれません。しかし一方で、内服薬は切らさないように欠かさず処方を求めてこられる患者さんもいます。このページの冒頭で説明しましたように、漢方薬のように体質を治していくという説明や効能が、我々日本人には納得しやすかったのではないかと思っています。

今日では吸入ステロイド剤が普及し喘息もコントロールしやすくなりました。それに比べると抗アレルギー剤は相対的に効果が弱いのは事実です。盛んに抗アレルギー剤が開発され認可された時期、吸入ステロイド剤の積極的な治療は、まだ今日のように普及していなかった事実もあります。吸入ステロイド剤が普及した今日において、抗アレルギー剤が無効な薬剤として目に映るの事は当然なのです。

また「抗アレルギー剤」という名前が良すぎて患者さんに過度の期待をさせてしまった事も悪かったのではないかと思っております。

海外には「抗アレルギー剤はない」と言った指摘があります。「日本にだけしかない薬剤はおかしい」と言った意見さえもあります。この意見は常々おかしな考え方だと思っています。それを言い出すと漢方薬を健康保険で認めているのも日本だけではないでしょうか。その国の文化や独自性は許されないものでしょうか。

このページでも説明しましたロイコトリエン拮抗剤などは、小児用の顆粒などの剤型も発売されその効果が大変注目され、様々な発表がなされています。

「体質を治す」という言葉は聞こえが良すぎて、患者さんに過度の期待をさせてしまうようで使いたくはありません。しかしアレルギーの根源だけを日々少しずつ抑えていくという考え方は、東洋的というのか我々のオリジナルの考え方だったのです。

海外でそうした考え方が認められ、いま様々なトライアルがなされているのに、国内では「誰が悪い!」といった単純な責任追及のマスコミの扇動によって、我々のオリジナルの考え方をあっさりと葬り去るのは、浅はかなことだと思いませんか。

記載 1999/07/07


こどもと喘息治療の概略内服薬について抗アレルギー剤について