抗アレルギー剤の分類

 従来、抗アレルギー剤は大きく「好塩基性」「好酸性」の次の2つに分類されていました。しかし、様々な研究が進み喘息のコントローラーとしての目的を持った内服薬が多数開発され、上記の分類には当てはまらない製剤が多数出てきました。1998年に厚生省・免疫アレルギー研究班が発表した「喘息予防・管理ガイドライン」によると新しく次のような分類がなされるようになりました。

 1.メディエーター遊離抑制薬
 2.ヒスタミンH1-拮抗薬
 3.トロンボキサン阻害薬
 4.ロイコトリエン拮抗薬
 5.Th2サイトカイン阻害薬


1.メディエーター遊離抑制薬

 アレルギー性疾思と関わりの深い肥満細胞に働いてヒスタミン、ロイコトリエンC4などのケミカルメディエーターの遊離を抑制する薬剤です。効果判定には4〜6週間以上の投与期間が必要です。副作用としては、トラニラストの出血性膀胱炎、タザノラストのほてり感などが知られています。

【代表的な製剤】

一般名 商品名
クロモグリク酸ナトリウム インタール(内服)
トラニラスト リザベン
アンレキサノクス ソルファ
レピリナスト ロメット
イブジラスト ケタス
タザノラスト タザノールタザレスト
ペミロラスト アレギサール、ペミラストン

2.ヒスタミンH1-措抗薬
 いわゆる抗ヒスタミン作用をもつ薬剤です。眠気のあるものとないものがあります。アレルギー性鼻炎のくしゃみ、鼻汁、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹の痒みなどには著効を示します。副作用としては、テルフェナジンとアステミゾールでは、エリスロマイシンやイトラコナゾールなどとの併用で重篤な不整脈を来すことがあり得るので禁忌です。

【代表的な製剤】

一般名 商品名
フマル酸ケトチフェン ザジテン
塩酸アゼラスチン アゼスラン、アゼプチン
オキサトミド セルテクト
メキタジン ゼスラン、ニポラジン
テルフェナジン トリルダン
フマル酸エメダスチン ダレン、レミカット
塩酸エピナスチン アレジオン
アステミゾール ヒスマナール
エバスチン エバステル
塩酸フェキソフェナジン アレグラ
塩酸オロパタジン アロレック
ベシル酸ベポタスチン タリオン
塩酸セチリジン ジルテック

3.トロンボキサン阻害薬
 トロンボキサンA2の産生を抑えるトロンボキサンA2合成酵素阻害薬とトロンボキサンA2の作用を抑えるトロンボキサンA2拮抗薬の2種類があります。喘息患者の気管支の過敏な状態を改善します。他のアレルギー性疾患に対する効果については現在検討中です。副作用としては、セラトロダストでは血清ビリルビン値の上昇を伴う重篤な肝機能異常が稀に見られるので注意が必要です。

【代表的な製剤】

一般名 商品名
塩酸オザグレル
(トロンボキサンA2合成酵素阻害薬)
 ドメナン、ベガ
セラトロダスト
(トロンボキサンA2拮抗薬)
 ブロニカ
ラマトロバン
(トロンボキサンA2受容体拮抗薬)
 バイナス

4.ロイコトリエン拮抗薬
 ペプチドロイコトリエン(ロイコトリエンC4、D4、E4)は気管支喘息の病態に深く関与しています。また、アレルギー性鼻炎の鼻閉にも関係しています。ロイコトリエン拮抗薬はペプチドロイコトリエンの受容体に働いてその作用を抑える薬剤です。わが国ではプランルカストが使われています。  軽症から中等症の気管支喘息に対するプランルカストの有効性は50〜60%であり、効果発現はメディエーター遊離抑制薬やヒスタミンH1-拮抗薬よりも早く、症例によっては数日で効果が現れますが、一般的には2〜4週間です。アレルギー性鼻炎の鼻閉にも有効ですが、まだ適応症とはなっていません。

【代表的な製剤】

一般名 商品名
プランルカスト オノン
ザフィルルカスト アコレート
モンテルカスト キプレス(H13.9月頃発売)
モンテルカスト シングレア(H13.9月頃発売)

5.Th2サイトカイン阻害薬
 本剤の範疇に入るのは、現時点ではスプラタストのみです。サイトカインと呼ばれる生理活性物質のうち、アレルギー性疾患の発症に関係の深いIL−4とIL−5がリンパ球から産生されるのを抑制します。気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎が適応症ですが、効果が現れるのには数週間かかります。

【代表的な製剤】

一般名 商品名
トシル酸スプラタスト アイピーディ


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