■ 喘息は「気道過敏性の亢進」
■ 遷延する気管支の炎症
■ 小児では質のよい治り方をめざそう
■ アレルギーとは
■ アレルギーと気道の過敏性
■ 気道に反応を起こさせるもの
■ 喘息の病型
■ 喘息と間違えやすい病気
■ 統計と喘息の転帰
この様に喘息は空気の通り道である気管支の病気ですが、喘息を起こしている時の気管支はどういう状態になっているかを模式図に表しました。喘息発作を起こしているときの気管支には「気管支平滑筋の収縮」「粘膜の浮腫」「分泌物の増加」などの変化が起こっていると考えられています。図では分かりやすく3つの変化を別々に描きましたが、実際にはこれらの反応は同時に、気管支の至る所で起こっているはずです。
気管支の収縮
・気管支を取り囲む平滑筋収縮による気道の狭窄。
気管支粘膜の浮腫
・気管支粘膜の浮腫(むくむこと)。
分泌物の増加
・いわゆる痰の増加
実はこれらの変化は正常の方でも観察することがあります。それは外界の変化(気温や気圧など)、日内変動や異物の吸入や感染を起こしたときなどに生体の防御反応として観察されます。しかし喘息の患者さんはこれらの反応がわずかな刺激でが激しく起こる特徴を持っています。このわずかな刺激で反応を起こすことを「気道過敏性の亢進」といわれ、これが喘息の本体です。
こうした反応は発作が治まれば、生理学的にみると肺機能は正常に戻るので、喘息は「発作性の疾患」と長い間定義されていました。しかしこれは研究が進むに連れ間違っていることが明らかになってきました。
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それに伴い喘息の治療も変わってきました。以前は発作時の対応や発作の誘因を取り除く事が中心でした。今日でも喘息発作を引き起こす抗原からの回避は大切な治療です。
しかしそれだけではまだ十分とは言えず、気管支の慢性の炎症に対しての治療が重視されるようになってきました。すると発作の有無に関わらず炎症は存在するわけですから、喘息症状の有無に関わらず日常的に治療を行うことになります。
これにより恒常的に気管支の炎症を抑え厳重な喘息管理を行えば、喘息患者も健常な方と変わらない毎日が過ごせる今日となっています。
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体の成長に伴いもちろん肺・気管支なども大きくなってきています。それに伴い喘息は成長すると治ってしまうことがあります。しかし、約1割程度のお子さんは喘息を成人の年齢まで持ち越してしまいます。また治ったと思っていても、風邪を引いたときなどをきっかけに喘息が再び出る方もおられます。
大人になると喘息が完全に治ってしまう人とそうでない人の違いは何なのか、それはまだ明らかになっていませんが、どうも小児期の喘息発作の回数や程度や重さが影響しているのではないかと考えられています。
つまり喘息発作を起こすたびに気管支では炎症が起こっています。その回数が多く発作が重いとますます気道過敏性が高まります。そして喘息を起こしやすい状態(過敏性を残したまま)で成長してしまったと考えられています。
こうして成人での慢性の気管支の炎症論が次第に確かな事実になるに連れて、小児科でも喘息の主な病態はやはり喘息発作は、軽く、短く、繰り返さない方が、喘息の質のよい治癒に結びつくと多くの専門の医師が考えています。それで小児でも喘息発作の対応だけでなく、日常の十分な喘息管理が大切とされるようになっています。
例えば、気管支喘息ならばダニやほこりに対して、アトピー性皮膚炎なら卵白、アレルギー性鼻炎なら杉の花粉が原因物質(アレルゲン)となっていることがよく知られています。これらの刺激から喘息をはじめとするアレルギー症状が起こるのです。
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アレルギーは喘息と強く関わっているとされていますが、それはあくまでも原因の一つで、喘息の発症にはさまざまな原因が複雑に絡み合って発症していると考えられています。アレルギーの除去や回避は喘息の大切な治療ですが、それだけで完治するものではありません。いくつもの原因を見つけだして順に取り除いていく根気のいる治療が大切です。
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