採血はお子さんに大きな心理的負担をかけます。場合によっては幼いお子さんでも、ある程度は理解できるように説明してあげる方がよい場合もあります。採血が予定されていたならば、あらかじめ「我慢するのは今日だけ」と十分説明してあげて下さい。病院へ行くたびに痛いことをされる、などという間違った意識を育てないようにしましょう。
しかし、お母さんが検査の必要性や内容を十分に理解していないと、お子さんへの説得力も欠けいまいます。お母さんに疑問が残っているとどんなにお子さんに説得しても、鋭い洞察力のあるお子さんならそれを見抜いてしまいます。
このページでは、アレルギー疾患を持つお子さんに行う一般的な血液検査について説明します。
「血液検査」と一口に言っても非常に多くの種類がありますが、アレルギー疾患の患者さんに行う血液検査としては一般に下記のようなものがあります。
白血球の数や貧血の程度、また出血を止める働きのある血小板の数を測定する検査です。感染症を伴い発熱を来しているときなど白血球の数に変化がでます。その程度によって感染症の重症度を考えます。また全身状態の評価として貧血の程度も参考にします。
白血球はさらに細かく分類され、その中でも好酸球の数とアレルギーは非常に関係が深いとされています。好酸球の増加が見られたときは、喘鳴や湿疹の原因にアレルギーの関与を強く疑います。
[目次へ]
調べられる項目は非常に多く、その他にもネコやイヌのフケ、花粉、カビ、ソバなどもあります。もしも日常生活でこれが原因ではと思われるものがありましたら、なんでも外来で遠慮無くお話しして下さい。
[目次へ]
タンパク質は肝臓で作られ、肝機能の一つとも言えます。また全身状態の指標としてもとらえることが出来ます。次に説明する免疫蛋白もこれに含まれています。
肝機能と言われるものは一般にGOT、GPT、LDHなどです。肝臓の細胞が破壊したときに細胞内からでて来る酵素です。これが上昇していると肝臓の細胞がいくつか壊れていると考えることが出来ます。どんなに優秀なお薬が出来たとしても肝機能障害はたえず考えておかなければならない問題です。抗アレルギー剤など長期間内服をされている場合など、特に肝機能は定期的に調べておく必要があります。
腎機能と言われるもの一般にはBUN、クレアチニン(Cre)などと呼ばれているものです。正常ならば絶えず腎臓から尿へ排出されているものですが、腎臓の異常が生じると排出が滞り、それらが上昇します。点滴などをよく受けるお子さんの場合には、たくさんの水分が体の中に入るので腎機能については調べておく必要があります。
電解質とは、カルシウム(Ca)やリン(P)ナトリウム(Na)、カリウム(K)などの体に含まれる微量元素をさしています。それらの微量元素は腎臓などによりうまく調節されていますが、腎機能が悪いと調節がうまくいかなくなります。そのほか成長期のお子さんはカルシウムやリンなど問題がないか調べておきます。
[目次へ]