皮下注射後のマッサージの目的は、薬液を皮下組織に広く拡散させるために行うものであり、吸収を徐々に行う方が適している場合や少量の薬液ではマッサージはしない。筋肉注射の時は十分マッサージをすることが多いが、これは薬液の吸収速度を早くし、疼痛、一変色、硬結を減少するためと記載されている。しかし薬剤により持続作用を期待する場合は、マッサージはしない方がよいとされている。注射で接種する予防接種は、すべて皮下に接種することになっている。麻疹、風疹等の生ワクチンは体内でウイルスが増殖して免疫が成立するものであり吸収を急ぐ理由はない。DPT、日本脳炎等の不活化ワクチンは、アジュバントは含まれてはいるが、マッサージをしないと免疫反応が悪くなる訳ではなく、薬液が注射針の刺入口からもれない程度に、4〜5回軽くもんでおけば十分であろ。この点についての報告は少ないが、植田らは「沈降DPTワクチンを接種した643例では、接種部位をもまなかった群が、もんだ群より局所反応はやや低率」という報告を再検討した。その結果沈降DPTワクチンを接種後5分程度よくもんだ452例の間所反応は3.1%、もまなかった610例では3.0%で、もみかたは局所反応に関係ないと結論している。引用:スポット小児科医(NO.26.1997)(神谷斉)
1)植田譲ら:新3混DPTワクチン按種部位マッサージによる局所反応の比較。
予防接種副反応による研究P244〜245,1986.
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