タイトル:メディカル・ネチケット

インターネットで取り交わされている様々な医療情報の形態
 インターネットはホームページの閲覧や電子メールによる交信、メーリングリスト、電子掲示板など様々な利用がなされています。そしてこれからはまだ想像もできない利用方法が現れるでしょう。現在インターネットで行われている医療情報の流通・利用の形態を、次の様に大きく4つの形態に分けて特徴を考えてみましょう。


ホームページ(注1)
 インターネットに市民権を与えたのがこのホームページです。インターネットといえばホームページの事だと思う方もおられるかもしれません。ホームページとは hypertext markup language(以後略して HTML )と呼ばれる形式で作成されたデーターで、インターネット上で不特定多数の方が閲覧できるものです。文字だけでなく絵も動画、音声なども表現する事が可能で、閲覧した方に強い印象を与えます。ホームページは誰でも手軽に作成できて情報を発信することがメリットですが、それが十分吟味されていない内容が公開される原因と指摘されています。健康に関わる医療情報の場合、これが大きな問題となります。
電子メール
 ホームページを開設している医療関係者の中には電子メールを利用して医療相談を行っておられる場合があります。また医療相談専門のサイトもあります。ホームページの開設者の運用方針により質問内容と交信の様子をライブラリーとして公開している場合もありますが、一般には交信の内容は他者には分かりません。しかし電子メールで得られた情報を利用し健康被害が生じた場合、その責任の所在はまだ明らかになっていません。

 最近では関心のあるテーマを選ぶとそれに関する情報が定期・不定期に電子メールが送られてくるサービスがあります。定まった名称はないようですが、よく”メール新聞”と呼ばれたりしています。健康や疾病に関する内容のものも多数発行されています。

 また、望んでいないけれどもダイレクトメールとして一方的に電子メールを送られてくる場合もあります。どこかでメールアドレスを見つけて送信リストに加えられたのです。そしてたいていは商品の購入を勧める内容です。

電子掲示板システム、メーリングリスト
 医療情報の流通に、電子掲示板システムやメーリングリストを利用して、健康対策や特定の疾患を対象とした情報を交換したり、公開で医療相談がなされている場合があります。交信内容は他者も知ることになりますが、それが同じ境遇の方にとってよい情報源となる場合があります。

 これらのサービスの運営方針により匿名で参加できるなら、個人のプライベートな情報が表に出る心配は少なく、気軽に書き込みや投稿ができるようになります。しかし一方で、匿名の方からの情報提供が問題になることがあります。得た情報で健康被害が生じた場合、その責任の所在は電子メールによる相談同様に不明瞭です。

遠隔医療・遠隔ケアー
 遠隔地にいる患者さんの状態を把握し、必要に応じて診断やアドバイスを行うものです。特に目覚ましいのが、画像通信機器などを用いて患者さんとコミュニケーションを取る方法です。遠方で在宅治療を続けておられ患者さんや救急医療の現場で有効に活用されています。

 インターネットを利用した医療情報のやりとりは、主にが診療契約を結んでいない者どうしで行われています。それに対して、現在の遠隔医療といわれているほとんどは診療契約を結んだ医療機関と患者さんとの間で行われています。

 また前述の電子メールや電子掲示板システム、メーリングリストの医療相談、そしてホームページの閲覧も広い意味で遠隔医療に当てはまるといった考え方もあります。診療契約を結んでいる患者さんとの交信ならば、遠隔医療・遠隔ケアーに該当するかもしれません。

 診療契約を結んでいる医療機関との医療情報のやりとりは、このメディカル・ネチケットではなく、その医療機関から説明を受けた情報の利用法や注意を守って下さい。


注1:
 ホームページというのは、本来ブラウザーソフトが一番始めに表示するHTML形式のファイルの事を指していたようです。まぎらわしいので”Webページ”など他の呼び方を求める意見もあります。しかし実際にはホームページという言葉が広く使われているので、本誌ではそれを使うことにしました。

メディカル・ネチケットインターネット上の医療情報の利用手引き (JIMA)