- 演題
- 9.乳児アトピー性湿疹の治療経験
- 演者
- 瀧田耕作
- 所属
- 公立八鹿病院 小児科
- 抄録
- 来春のリタイア前に日頃気がついている事で、経験的にこのような診方、考え方が有りますが、如何でしょうかと話をしてみたいと思います。
1.最近は早期乳児で、脂漏性皮膚炎とアトピーの傾向のある湿疹が混在していることが多い。湿疹は二歳までに綺麗な普通の肌にしておかなければ、将来残ることが多いのではと考える。実際に自然治癒と考えられる症例を経験すると、無治療で経過をみるべきか、積極的に治療すべきか迷ってしまう。治療するとなれば、触診が必要と考える。なぜなら湿疹の病態は細胞浸潤だからです。本症病変部の炎症性細胞浸潤の主体はTリンパ球であり、大多数はヘルパーT細胞で、これに混じって多くの抗原提示細胞(ランゲルハンス細胞など)が認められると言われています。
2.治療にステロイド軟膏を使うわけですが、ステロイド剤はネフローゼの治療と同様の漸減療法で、その手がかりは(判断は)触診以外に方法は無いと考えます。漸減は面倒でも薄めていきます。それは治療の一貫性のためです、同じ薬剤を用いるのが基本との考えです。同一軟膏を1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6とプロペトでうすめます。1:3までは薬としての薬効はあるようです。1:4以降は完全離脱のためのものです。
3.観察は1週間単位です。皮膚の生理で基底膜から分裂し、あがってきて、角質層になり垢となって落ちるまでが30日といわれているからです。治療用の軟膏をうすくした4日から7日までの間をよく観察すること。薄くするのが早すぎれば、この時期にざらざらしたり、赤みやかゆみが出たりしていきます。
4.最後に何よりも肝心なことはスキンケアです。最低一日2回朝、夜二回は必要と考えます。メントールの入ってないアズノール軟膏を使用しています。
※(配布の資料をお読みください)