■ 第3回近畿外来小児科学研究会・一般演題抄録
- 演題
- 3年間に経験したムンプス395例についての検討
- 演者
- 絹巻 宏
- 所属
- 絹巻小児科クリニック(吹田市)
- 抄録
- ムンプスは比較的軽症のウイルス感染症であるが,しばしば無菌性髄膜炎を発症すること,学校伝染病に指定されていることなどを理由にワクチン接種を勧めている。昨年7月にワクチンによる無菌性髄膜炎で入院を要した症例を初めて経験したことを契機に、自然ムンプスの臨床像を最近3年間の自験例395例で検討した。
主な結果は、@総受診者に占めるムンプスの頻度は0.57%。A受診回数は2回または3回が多い。B臨床症状から無菌性髄膜炎ありと判断したものは18例で,発症率は4.6%。このうち4例を二次病院へ紹介し,うち2例が入院となり,その髄液細胞数は3,060/3と47/3であった。C睾丸炎,膵炎,難聴は見つからなかった。D抗菌薬は投与しないことを原則としているが,細菌感染の併発がないのに投与したものが24例(6.1%)あった。
調査は自己の診療を見直すよい機会となった。個人差の大きいデータであるが,多人数のものを集積すれば外来小児科学の基礎資料となるだろう。