- 演題
- 発達障害と小児科医 - LD、ADHDにどう対処するか -
- 演者
- 若宮英司
- 所属
- 大阪医科大学LDセンター/北摂総合病院小児科
- 抄録
- 最近、落ち着きのない子供など、小児の発達障害に注目が集まっている。小児の発達障害とは一般に注意欠陥/多動性障害や学習障害、コミュニケーション障害、広汎性発達障害等を指すことが多い。これらは以前 Minimal Brain Dysfunction(MBD) と呼ばれていた。基礎に脳機能障害が想定されているが、未だ充分に病態が把握されていない。注意欠陥/多動性障害は不注意、多動、衝動性、学習障害は読み、書き、計算の障害、コミュニケーション障害は言語障害、広汎性発達障害はコミュニケーションと対人性の障害、それにこだわりと、それぞれ行動や認知の特性によって特徴付けられる独立した疾患群である。しかし、お互いに合併することが多く、また症状がスペクトラム状に重なり合い、診断に苦慮することも多い。さらに学習障害は、医学上の診断名、文部科学省の定義、臨床心理、教育学で一般的に使われている概念がそれぞれ異なっており、現場では大きな混乱が続いている。
一方で、こういう問題を持つ子供たちは、どこに相談すればよいかが判らないという声が強い。脳機能障害という面から検査や投薬などの必要性や、また教育機関、保健相談機関の体制が充分でない現状から、現在、医療に対する期待は大きいものがある。彼らは夜尿、てんかん、チックなどを合併することも多く、また小児科は普段から子供の様々な相談に答える機会が多いので、小児科医は一番窓口として適した存在ではないだろうか。もちろん、診察室で行える治療には限りがあるので、保健施設や教育機関と連絡を取り合いながら取り組んでいくことが必要となる。
今年4月に開設された大阪医大LDセンターの指導訓練にも触れながら、我々の発達障害に対する取り組みを紹介したい。
当日、御希望の方には LDセンターの内部を見学していただけるようにしております。