- 演題
- オンラインを利用したインフルエンザ流行情報収集と公開について
- 演者
- ○西藤成雄 1)、砂川富正 2)、宝樹真理 3)、根東義明 4)
- 所属
- 1) 西藤こどもクリニック、2) 横浜検疫所検疫課、3) たからぎ医院、4) 東北大学医学部小児科
- 抄録
- 感染症法に基づくサーベイランスの報告は臨床診断に基づき、報告から還元までに約2週間を要する。感染症の流行阻止には早期の対策が重要であり、特にインフルエンザ(flu)のように流行の早い感染症では、収集された情報の還元にさらなる速報性が望まれている。
インターネット(INET)が普及した今日、メーリングリスト(ML)など日本全国の小児科医と瞬時に情報交換ができるコミュニティーががすでに存在する。そこで、リアルタイム集計表示が可能なデータベース(DB)をINETに構築し、ML参加者の医療機関においてflu迅速診断検査を行った症例の登録を呼びかけた。
今シーズンは本DBを平成14年12月9日より運営しており、2月末で30000件を越える症例登録があった。その登録はホームページ(HP)に都道府県別に集計表示され、症例が多くなるに連れて警戒色に変化するように工夫した。また本年度は市町村単位の集計と地図描写も実装した。報告数の経時的グラフの描写や各年齢ごとのfluタイプや予防接種歴などの分析がリアルタイムで処理される。日週集計はメールでも配信される。また登録した各医療機関ごとの解析サービス「MyData」も提供を始めている。
集まった情報をリアルタイムでINETで公開する本DBは、従来のサーベイランスに比べると速報性において飛躍的に優れている。また迅速診断テストの結果に基づく報告であり、従来の臨床症状による報告よりも信憑性が高い。症例数のみならず性別や年齢、fluタイプ、予防接種歴などをリアルタイム集計し報告している情報源は特異な存在である。
本DBは利点も多いながらも、その報告は医療機関関係者の参加意欲に依存しており、また地域の代表性にも問題がある。また迅速診断キットの供給不足もシーズン終わりには危惧されている。それらの問題点をHPに表記しているが、本DBへのアクセスは40000回を越え関係者の関心は大変高いと想像される。 研究会でこれまでの稼動状況報告し、情報の収集と公開、運用について広くご意見を賜りたい。