娘はこのままでは身長140cmがやっとだと言われています。
成長ホルモンは大変高額な治療薬ですから、厳密な検査を行いその結果を成長科学協会に申請し、治療適応判定を受けなければなりません。
>>結果は2種類のホルモンの分泌の数値が10以下なら治療を受けることが
>>出来るけれど、娘は一つが17、もう一つが7.8の数値なので低身長の認定は出来ないと言わ
>>れました。
治療判定は様々な要素があります。その中で成長ホルモンの負荷テストは2つする事になっています。
5(ng/ml)以下 | 5-10 | 10以上 | |
アルギニン負荷テスト | 4 | 3 | 0 |
グルカゴン負荷テスト | 4 | 3 | 0 |
l-DOPA負荷テスト | 4 | 3 | 0 |
クロニジン負荷テスト | 4 | 3 | 0 |
インスリン負荷テスト | 4 | 3 | 0 |
7.5(ng/ml)以下 | 7.5-15 | 15以上 | |
グルカゴン・ プロプラノロール負荷テスト | 4 | 3 | 0 |
インスリン・ プロプラノロール負荷テスト | 4 | 3 | 0 |
GRH(GRF)負荷テスト | 4 | 3 | 0 |
(1)と(2)の中から一つずつ負荷テストを選び、その合計点を申請の際に報告します。ですから"17"とよく反応した負荷テストがあるからポイントが低くなったと言うことだろうと思います。
>>明らかに−2SD以下なのに数値の上では治療を受けられないということが良く理解
>>できません。
実をもうしますと、最近、成長ホルモンの適応が身長-2.5SD以下の低身長と改められたそうです。平成2年度厚生省乳幼児身体発育調査結果では、5歳3ヶ月の女児の-2.5SDは97.7cmとなります。ですからお子さんはまだそれよりも1cm低いのですね。
なんとかお子さんの身長を期待しておられるのに、申し上げにくいことですが、成長ホルモンの使用は決して、身長を伸ばすという美容が目的ではないとお考え下さい。成長ホルモンが欠如した事により低身長を来しているお子さんのみが適応となっております。
成長ホルモンの負荷テストで反応が認められたわけですから、成長ホルモンの分泌があるわけです。それ故にお子さんは治療判定適応からはずれたのです。見方を変えれば、負荷検査によってまだ身長が伸びる可能性がある事が示唆されたわけです。前向けに考えてみることも大切かもしれません。
逆にもし使用した場合のリスクも考えてみましょう。成長ホルモンを投与されているお子さんは白血病の頻度が高いことも知られています。白血病の発生と成長ホルモンの因果関係は明らかにされていませんが、治療中は絶えず注意が必要です。また、精査が不十分だったのかもしれませんが、潜在性の脳腫瘍の症状が現れるケースも報告されています。
>>一つが正常な数値なら伸びる可能性があるのか、または他に治療法が無いのか教え
>>ていただきたく宜しくお願いいたします。
お勧めは出来ませんが、どうしても成長ホルモンで身長を伸ばしたいとお考えでしたら、大変高額になりますが自費で治療をすることも不可能ではありません。ただし恐らく年間400〜600万程度の費用がかかるのではないかと想像します。もちろん一般的には、先のリスクを考え賛同される医師はいないと思います。
成長ホルモンの分泌については、一応クリアーされているので、まず経過を診ることが大事だと思います。その間にその他の低身長を来している原因が他に無いかを調べることが大事だと思います。当然一般的な挺身町を来す疾患の精査はなされていると思います。例えば頭蓋内の腫瘍とか他のホルモンの異常、染色体の異常などです。
質問の中に記載されていませんでしたが、お子さんの分娩時に異常はありませんでしたか。ご両親の身長はどれくらいですか。他の兄弟には低身長のお子さんはおられませんか。