以上です。
C型肝炎ウイルスの感染があるかどうかを調べる検査にC型肝炎ウイルスに対する抗体(HCV抗体)とCが肝炎ウイルスの遺伝子(HCV-RAN)の2つがあります。HCV抗体はお母さんからの移行抗体があるので生後1年間は陽性であり続ける場合があります。しかしそれ以降も陽性が続く場合はお子さんに感染が成立と考えられます。またお子さんがHCV-RNAの陽性であれば感染の証拠となりますが、一過性の事や陽性でも肝障害が認めらないケースが報告されています。長期予後はまだ明らかとなっておらず肝機能を含めた経過の観察が大事とされています。
ですから、生後のいつでもHCV-RNAを調べれば感染の確認は可能ですが、それがすぐさま将来お子さんの肝障害をもたらすかどうかを占う事にはならないと言うことです。
お子さんは現在生後6ヶ月と言うことですから、お母さんから胎盤を介してHCV抗体はまだ陽性である可能性は高いです。一方、お母さんのHCV-RNAが陰性ですから、先の4)を読んでいただければお分かりの通りお子さんへの感染の可能性は低そうですね。
また母乳中にHCVの存在は指摘され、実は母乳を介した感染も報告があるそうです。しかし一般的にはC型肝炎を理由に母乳の遮断は必要ないとされています。ただ”もらい乳”としては提供すべきではないとされています。
次に開業医の先生でも調べられるかという相談ですが、不可能ではないはずと思います。HCV抗体は一般的な検査項目に含まれているかもしれませんが、HCV-RNAの方は普段一般的に調べられることは少ないと思います。いま現在かかっておられる小児科の先生がおられましたら、まず相談してみて下さい。
【参考文献】
・小児内科 vol.25 増刊号 1993
・小児内科 vol.27 no. 4 1995- 4 549- 555
・小児内科 vol.27 no.10 1995-10 1469-1473
・日本小児科学会雑誌 96巻12号 2718-2719
・周産期医学 vol.26 増刊号 1996
・Neonatal Care vol.9 秋期増刊 1996