漢方薬について

前の方でお話しました抗アレルギー剤は、喘息発作を起こしやすい状態を徐々に良くしていこうといった考え方で処方されます。これは漢方薬に近い考え方と言えるでしょう。
【種類と特徴】
 気管支喘息に使うお薬の作用は大ざっぱに2種類に大別すると分かりやすいでしょう。1つは喘息発作が出たのでその症状を抑えていく作用。2つ目は喘息発作を起こし易い状態を健康な体にしていこうと言った作用です。

 1つ目の作用は、なんといっても”西洋薬”とでも言うべきネオフィリンやβ交感神経刺激剤に漢方薬はかないません。特別な事情がない限り発作を漢方薬で改善させるのは困難でしょう。それよりも2つ目のの作用には現在非常に注目されています。実際幾つかの漢方薬に抗アレルギー作用が認められています。重症の喘息児でステロイド剤を内服している場合に、漢方薬の併用でステロイド剤を減らす効果も知られています。

 保険で気管支喘息に適応が認められている代表的な漢方薬としては、「柴朴湯」「小青竜湯」があります。

【副作用】
 喘息の治療に漢方薬の使用を望まれるご両親がまれにおられます。その理由を尋ねると、漢方薬に副作用がないと多くの方がおっしゃいます。しかし決してそういったことはありません。漢方薬でも副作用はあります。体の電解質異常や胃腸障害などお薬により様々な副作用が知られています。

【内服のコツ】
 漢方薬はお子さんにとって、内服量が多い、味が悪い、そして湿気やすく保存が難しいなどの点でなかなかすすめにくいのが現状です。しかし、内服を始めてみると意外にキチンと内服してくれることがあります。どうしても内服できない場合には、オブラートに包んだり、ココアの粉に混ぜてみるなど工夫が必要となります。

【適応】
 さて実際どういった場合に処方されるかですが、普段内服している抗アレルギー剤でなかなか効果がでない場合など、試しに漢方薬に代えてみることがあります。そしてその効果もまずまずの場合があります。

 ところが実際は、抗アレルギー剤以上に漢方薬もその効果判定はなかなか難しく、長い経過を観ないと分からないことが多いです。また長い間内服していたお薬を変更するのにも少し勇気が要ります。比較的年長のお子さんで内服を拒まなければ、思い切って初めから漢方薬を抗アレルギー剤の一つとして積極的に処方していく方法もよいでしょう。

 これからは、いわゆる”西洋薬”と”漢方薬”それぞれの良いところを組み合わせて臨床に取り入れられていくことでしょう。


こどもと喘息治療の概略内服薬
 西藤こどもクリニック